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古びた洋館に僕は迷い込んだ。夜遅く、嵐が吹き荒れ、窓ガラスがガタリと音を立てていた。薄暗く、埃っぽく、静寂に包まれた館内を出歩くうちに、何とも言えない不安感が高まっていく。ふと、手の込んだ重厚なドアに気づいた。興味をそそられ、ドアノブをゆっくりと回した。それから、僕は恐ろしき恐怖に包まれた。 ドアの先には、漆黒の暗闇が広がっていた。しかし、そこかしこからジリジリと冷たい風が渦巻いており、ひんやりとした指先が僕の額と手の甲をなでたような気がした。不気味な静寂と冷たい風だけが響く部屋で、僕は息を呑んで立ち尽くす。その時に、俺の目の下に、ひっそりと影が落ちていることに気付いた。自分の顔が暗闇に溶け込むように見え、恐怖で震えあがった。 深い息を吸い込み、懐中電灯を取り出そうとしたその時、冷たく執拗に僕の肩に触れた。ぎゃー!と叫び、咄嗟に振り返ったが、そこには何もいなかった。背中が凍りつき、心臓がバラムベラムと音を立てながら、部屋から後ろ向きに滑り出すように逃げ出した。 古びた階段を下り、そして最初の入り口まで戻っていく途中、再び冷たい指先が僕の背中に触れた。俺は今まさに呪われた館に閉じ込められていると確信した。 あの夜は、僕が二度と洋館に足を踏み入れないように、永遠にその恐怖を刻みつけてしまった。
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