血まみれのピアノ

古びた洋館に、一人で住み着いているピアニスト、エミリーはいた。彼女は亡き父から受け継いだアンティークピアノで日夜練習を重ねていた。しかし、ピアノには奇妙な噂が付きまとっていた。夜になると、ピアノから透き通るような旋律が聞こえるそうで、それを聞いた者には奇妙な悪夢が襲ってくるというのだ。エミリーは初めはただの噂と信じていた。しかし、ある夜、彼女は練習をしている最中にピアノの音が途切れた。すると、次の瞬間、それは血まみれの音を奏でていた。それは彼女が演奏した楽譜にない、不吉で異様な旋律だった。その音に包まれると、エミリーは動けなくなってしまう。そして、その日を境に、エミリーは悪夢に苦しめられるようになった。夢の中では、彼女をピアノに閉じ込めて、哀れき音を奏でる影のような存在が自分に迫ってくる。エミリーは恐怖に苛まれて部屋から出ようともしなくなった。ある日、見知らぬ訪問者が埃まみれになった洋館を訪れた。彼はエミリーの父がよく演奏したという貴重な曲を希望し、エミリーはピアノを弾きたいという彼の希望を叶えるため、恐怖を振り切り決心する。しかし、演奏が始まると、再び血まみれの音を奏でる。訪問者は恐ろしさに打ちひしがれ逃げ出し、エミリーは再び孤独に闇に包まれた。真夜中、エミリーは血まみれのメロディに支配され、悪夢の中でピアノを弾き続ける悪夢に襲われるのかもしれない......