赤いろうそくの影

埃っぽい古い箱を開けた時、彼女は冷たい金属のぬくもりを感じた。中は漆黒で、中に一つだけ、赤いろうそくが鎮座していた。ろうそくに触れると、柔らかな熱が彼女の指先に広がった。まるで生きているかのように、それは彼女をじっと見つめていた。 家全体に陰鬱な香りが漂い始めた。赤いろうそくの炎が高々と燃え上がり、その影は部屋に舞うように蠢き始めた。最初は細長い長く首長いかたちの影だが、次第に形が変わっていく。人間の影に似せても、 grotesk 化し、歪み、恐ろしい笑顔を浮かべていた。 彼女は恐怖に震え、ボックスを閉めにした。しかし、赤いろうそくの影は引き裂きながら立ち去り、彼女を追いかけてきた。壁に投影された影は彼女の姿に迫り、彼女の体に触れた。その瞬間、彼女は息絶えた。 翌朝、家人は彼女の死を発見した。机の上に古い箱が置かれ、そこには未だに細長い赤いろうそくの炎が燃え続けていた。影は消えてしまっていた。