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古い納屋の一角に置かれた、黄ばんだ布で覆われたオルゴール。祖父が私に遺してくれたものだったが、その鍵はいくら探しても見つからない。好奇心のあまり、布を押しのけて隠れていたオルゴールを覗き込んだ。作りは精巧だが、音色が聞ける筈の歯車は錆びついて動かない。諦めて蓋を閉めようとしたその時、静かに音が鳴り響いた。かすれ、乾いたメロディー。それはまるで、過去の遠い記憶を呼び覚ますような、切なくも美しい調べだった。その音を聞きながら、私は祖父の語った昔の話を思い出した。彼は幼い頃、このオルゴールのどこか別の部屋で何年も放置されたままになっていたと話していた。そしてある日突然、鍵を探していた彼が目にする形で、オルゴールが音を奏でていたのだと言う。だが祖父は、その時の事を鮮明に思い出せないと言って、いつも悲しい表情で語っていた。今は祖父はいないけれど、その優しいメロディーは私の心をじんわりと温めている。しかし同時に、背筋を凍りつかせる不安感も募っていた。なぜ祖父はそのオルゴールの話を悲しく思うのか。そしてなぜ、鍵を見つけた瞬間、オルゴールが音を奏で始めたのだろうか。その答えは、今もこの納屋に眠っているのかもしれない。
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