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朽ちかけた古民家が静かな山道にひっそりと建っていた。空き巣やいたずらっ子が入るのを防ぐために、昔の人は家の屋根に大きな破魔の札を貼り付けたそうだが、それが剥がれ落ちることが多々あったらしい。ある日、僕は友達と廃墟の家を探検することになった。建物は暗く、埃と湿気で臭かった。三連窓のガラスはほとんど壊れており、外の光がぼんやりと差し込んでいた。二階へと続く古い階段を上ると、ぬかるんだ床が軋み、かすかな音だけが響く重たい静けさだった。僕は階下の部屋の扉が開いているのを見つけ、その先に、光が漏れているような気がした。足を踏み入れると、そこはかつての食堂だった。机や椅子は朽ち果てており、壁掛け時計はゼンマイが止まっていて、永遠に時刻を止められたように針が二人とじっていた。その時、僕は背後から冷気を感じた。振り返ると、空気に波打つ影が、壁の隙間に現れた。影はゆっくりと男の顔へ形を変えた。顔は腐烂しており、目玉は突き出て、牙をむき出しにして笑った。血で染まった手を上げて、その影は僕に向かってゆっくりと歩いてきた。友達もすぐにその影に気づき、恐怖で叫んだ。僕らは飛び出し、廃墟の家に戻らず、家から遠く離れ、一目散に逃げてしまった。その日以来、僕はあの影の姿が忘れられない。その影を見るたびに、あの恐怖が甦ってくる。
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