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古書店で入手した丸いアンティークの鏡。その枠に細かい華奢な花が彫られていて、アンティークカメラと共に僕は心を奪われた。持ち帰ってみるとすぐに鏡越しに、かすかで気味の悪いささやきが聞こえてきた。最初は環境音だと思ったが、毎日誰かが悲しげに私の名前を呼んでいるような確かなささやきがするようになった。数日後、自分が激しく不安になった朝、鏡を改めて見ると、その細かな花が一つ花びらが千切れて新しい花びらが顔を出していることに気づいた。慌てて鏡を元の箱に戻したが、夜になるとそのささやきが強まる一方だった。ついに、鏡を盗まれたらしく、その窓から光る不思議な花びらのようなものが散っていた。僕は気づいた。鏡に閉ざされた何かが、ゆっくりと僕を蝕み始めようとしていたのだ。夜はこのささやきが強まり、鏡に込められた何かは僕に近づいていることを感じていた。
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