赤い稲妻

山奥の集落で、不気味な赤い稲妻が村の子供たちを襲い始める。彼らは、稲妻に触れると奇妙な病気にかかり、虚ろな目で、まるで影の人のように見なくなる。 村人たちは震え上がり、原因を探し始める。古い老婆の噂によれば、赤い稲妻は山上の神聖な遺跡に棲む悪霊が放つものだとした。里の長老は、村人を率いて遺跡へ挑む決意をする。 遺跡は、苔むした石造りの巨大な建造物で、不気味な静けさで満たされていた。深い懐に吸い込まれるような深い黒闇から赤い稲妻が連発し、そのたびに空気が焦げるような匂いを漂わせた。 里の長老が祭壇に向かいると、突然、赤い稲妻が祭壇を這い回り始めた。祭壇の床に刻まれた石板に、儀式が行われれば悪霊を封じ込めることが出来るとされている。長老は暗闇に姿を消した巫女の言葉を思い出し、石板に祈りを捧げた。 すると、赤い稲妻は祭壇から飛び立ち、森の中へと消えていった。同時に、村の子供たちは意識を取り戻し、赤い稲妻に触れた傷跡はまるで無いかのように消えていた。 里の長老は安堵の息を吐き、集落へ戻った。しかし、巫女の言わなかった別の儀式が、村の人々の記憶から消えてしまい、その正体は未だ不明だった。赤い稲妻は何もしないが、過去の記憶を持つそのものが見ないようにしているように感じる。

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