錆び付いたピアノ

古い屋敷に引っ越してきたばかりだった。部屋は埃まみれで、ほとんどの物は使い物にならない古ぼけ物だったが、そこに唯一ロマンを感じたのが、錆び付いたピアノだった。一口にピアノといっても、それが見つかった部屋は屋根裏部屋だった。薄暗く、湿気もひどかったが、ピアノだけは何とか艶消し黒だった。その音色は重く、少し哀愁のあるもので、まるで過去からのメッセージのように響く。部屋の隅に置かれたピアノの鍵盤は、湿気と共に少し錆びついていて、曲の始まりの場所も見えない。でも、その不気味な美しさは、私に演奏を促した。 恐る恐る鍵盤に触れた。錆の焦げ付きと湿気を帯びた音が響く。不協和音を奏でて、錆びついた音色が空間に漂い、私の心を締め付けようとする。でも、その音色に引き込まれて、私は手を止められなかった。古い曲を見つけ、ゆっくりと始めた。 演奏するにつれ、ピアノの音色は私の心を揺さぶり始めた。まるで、誰かが後ろから僕を見つめているような気配がした。音が空間に広がるにつれて、その気配は強くなり、部屋の隅から何かがこちらを見ているような感覚に襲われた。顔を見ようとしないだろう、そう思っているかのように、かすかに冷たく濡れた息を感じた。転調をすると、私の体が不協和音と共に震え始めてきた。不気味な音色に、壁から白い影が浮かび上がってきた。まるでピアノの音楽に流されて、踊るように。 私はそのまま手を続けようとしましたが、恐ろしさが勝った。演奏をやめ、部屋から逃げ出そうとしましたが、鍵が全然回らない。僕はドアにたたく。鈍い音が響くだけが返ってくる。黒い影が部屋の中心が集まっている時、僕は恐怖で叫んだ。窓から見ると、白い影が私のお部屋の方へ近づいてきていた。 二度とあの古い屋敷には行かない。あの錆び付いたピアノ、その不気味な音色は、今でも僕の夢に忍び込み、私を苦しめてくる。