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古い骨董店で、私は目を引く美しいオルゴールを見つけました。鳥の彫刻が施されたゴールドのケースに、黒檀製のメカがきらびやかに輝いていました。値段は無骨な店主の手に渡された紙切れには「1万円」と書いてありました。あまりにも安かったので、思わず購入してしまいました。 家に持ち帰り、オルゴールを回転させると、どこか懐かしい美しいメロディーが奏でられました。部屋全体が幻想的な雰囲気に包まれ、不思議な魅力に惹きつけられるようになりました。しかし、メロディーが終わると、部屋は奇妙な静寂に襲われました。窓から吹く冷外の風は、まるで不吉な幽霊のようなささやきを奏でているようでした。 それからというもの、オルゴールを回転させると、必ず黒い影が部屋の隅でちらつくようになりました。私は最初は気のせいだと思い込みましたが、だんだん影が濃く、形になり始めた気がして、不安になってきました。影は私の動きに合わせて滑らかに伸び縮みし、私には決して近づいてこないものの、不思議な力を持つ存在のように感じられました。 一体このオルゴールは何を抱えているのでしょうか?恐ろしい予感が心にうをえとしてきました。その夜、私はぐっすり眠れませんでした。オルゴールのメロディーが何かに突き動かされるように、部屋全体を包み込むような、不協和音の断片が何度も響き渡り、私の恐怖を増幅させていきました。 朝、太陽の光が差し込むと影は消えましたが、オルゴールから漂う黒いオーラが濃くなっていたことに気づきました。私はもう、オルゴールを手放せませんでした。この暗く神秘的な美しさと闇を抱えた存在が、私を守蔽する存在になるのか、それとも私を滅ぼす存在になるのか…。不安は深まり、私はオルゴールを見つめながら、恐ろしい未来を想像していました。
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