血塗られた鏡

古い屋敷の奥深くに、埃をかぶった鏡があった。引越ししてきた僕は、偶然その鏡を見つけた。 フレームは黒木で、表面はアンティークシルバーの仕上げ。どこか風化した姿は、物静かな美しさを漂わせていた。しかし、その美しい表面の中心に、不気味な血色の斑点のようなものが見られた。 夜になった。僕は夢中で仕事をしていると、気づけば鏡が部屋の中央に映り込んでいるのを感じた。恐怖に震えながら、僕は鏡を見た。自分の姿は綺麗に映っていた。しかし、その隣には、鏡の外から這い出てきたように、血に染まった自分の影が並んでいた。 影はゆっくりと動き始めた。その視線は僕をじっと見つめているように感じられた。影の唇は動き、かすかな声で私に囁いた。 「あなただよ…」 僕の心臓はがくっと止まりそうになった。恐怖で息が出来なくなった。それに気づいたのか、影は邪悪な笑みを浮かべて、僕の顔面に飛びかかった。 目が覚めた時、僕は冷 sweats に Covered になっていた。部屋の窓は開いていた。外の冷風を浴びながら、僕は鏡の方を見やった。そこには、僕の姿は映っていたが、影の姿はない。 暫くしてから、僕は手に触れた時に奇妙な感触を感じた。指先には、血のような粘液が付着していた。その粘液は、自分に染み込んで行き、体全体に広がり始めた。そして、僕は鏡に向かって笑いかけた。その笑い声は、さっきの影の声とそっくりだった。