消えゆく肖像画

古びた屋敷の奥部屋で、私は祖母から受け継いだ肖像画に釘付けになっていた。 それが描かれているのは祖母の人形である。骨董市で古風な雰囲気の絵を手に入れた祖母は、それを額装して屋敷に飾ってきた、と聞いたことがある。しかし、その人形は奇妙な光に包まれ、油絵のように人物が生きているかのような錯覚を覚えるのは私だけだろうか? 数日後、私は肖像画のある部屋で薄暗闇を漂っていた。部屋の窓から差し込む月の光が、絵の中の人形に微妙に当たっているにも関わらず、その光は絵からは飛び出す様な奇妙な輝きを放っていた。 私は背筋がゾクゾクするようになり、その光が人形に注がれていく様子を観察。 息を呑んだ瞬間、絵に入った光が消滅した。その代わりに、私は血まみれの女の人が立っているのを見つけた。それは人形の絵ではなく、血塗られた白骨の姿をしていた。 そして、その時、隣に誰かが立っていることに気づいた。薄暗闇に助けられたのだろうか、その場所には誰が立っているのだろうか…恐ろしいながらも、私はその人物に向き合った。 私の視線の先は、人形のものと同じ光感のある、祖母の人物像だった。しかし、それは、生きている祖母とは少し違う。顔色が青白く、目は血の洞窟のような赤く、彼女はじっと私の方へ微笑んでいる。 私は無言のため息をつき、その部屋を後にした。その日から、肖像画は消え、どこにも祖母の姿を見つけることができなくなった。屋敷の外で祖母が私に「迎えに行く」と囁く声が聞こえたように思うが...それは気のせいだ。

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