見知らぬ家の窓辺の女

見知らぬ家の窓辺の女
大学の友人たちとドライブ旅行に出かけた帰り道、ナビが突然狂って見知らぬ山道に迷い込んでしまった。車のライトが照らすのはただ続く暗い道ばかりで、帰り道も見つけられず、辺りはもう深夜になっていた。

やがて、山道の先にぽつんと一軒家が見えてきた。あまりにも不気味な佇まいで、窓からは薄暗い光が漏れている。誰も住んでいるとは思えないような古びた家だが、私たちは助けを求めるべきか迷った末、近づいてみることにした。

車を降りて歩み寄ると、窓辺にひっそりとたたずむ女の姿が見えた。長い髪で顔は見えず、白い服を着てこちらに背を向けて立っている。私たちはその静かな様子に引き込まれ、何か言葉をかけようとした瞬間、彼女の体がゆっくりとこちらを向いた。

彼女の顔が見えた瞬間、全員が息を飲んだ。彼女の目は異様に大きく、不気味な微笑みを浮かべていた。しかし、彼女は私たちを見ているのではなく、まるでその先の暗闇を見つめているようだった。そして、かすれた声で何かをつぶやいている。

友人が震えながら一歩後ずさると、彼女が瞬時に顔をこちらに向けてきた。その瞬間、私たちは恐怖に駆られて車に飛び乗り、その場を離れようとした。しかし、車のエンジンはかからない。焦って何度もキーを回していると、突然「コン、コン」という音が車の窓を叩く音が響いた。

窓を見ると、あの女がすぐそばに立っていた。彼女は無表情でただこちらをじっと見つめている。目と目が合った瞬間、彼女の顔がだんだんとこちらに近づいてきた。その顔が歪んで変形し、怒りとも悲しみともつかない表情で私たちを睨みつけている。

エンジンがかかると同時に私たちは全速力でその場所を離れた。振り返ることなく山を下りて、夜が明けるまでどこかで身を潜めることしかできなかった。後から調べてみると、あの場所にはもう長いこと誰も住んでいないはずの家だったという。

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