森の奥で見つけた古びた日記

森の奥で見つけた古びた日記
私の名前は田代亮一。高校時代の夏休みに、仲の良い友人たちと山へキャンプに行くことになった。山奥のキャンプ場は自然が美しく、私たちは数日間のキャンプを楽しむ計画を立てていた。しかし、その楽しい時間が恐怖の体験に変わるとは、その時は思いもしなかった。

キャンプの二日目、私たちは興味本位でさらに奥の森へと探検に出かけた。キャンプ場から少し離れた場所には、長い間誰も足を踏み入れていないような森が広がっており、足元には苔や落ち葉が積もり、不気味な雰囲気が漂っていた。

森の中を歩いていると、突然、一人の友人が何かを見つけたと叫んだ。彼の手には、朽ち果てた木の小屋が見えていたのだ。好奇心に駆られた私たちは、その小屋に近づいてみることにした。小屋の扉は壊れており、薄暗い中に古びた家具や物が乱雑に散らばっていた。

その時、床に半分埋もれた古い日記を見つけた。それは湿気でボロボロになっていたが、ページをめくると、何か書かれていることがわかった。日記の初めには、こう記されていた。

この日記を読む者よ、ここに留まってはいけない。決して真実を求めるな。

その警告にも関わらず、私たちは日記を読み続けた。内容は、かつてこの森に住んでいた家族についてだった。彼らは森の奥で静かな生活をしていたが、ある日、家族の一人が突然行方不明になり、その後次々と奇怪な出来事が起こり始めたという。

日記には、夜になると森の奥から聞こえる奇妙なささやき声や、家の周りをさまよう影の話が詳細に記されていた。そして最後のページには、力強い筆跡でこう書かれていた。

森の奥には入るな。そこには"彼"がいる。"彼"はあなたを待っている。

私たちは不安にかられ、その日記を元に小屋を後にした。しかし、その晩、キャンプ場に戻ってから奇妙なことが起こり始めた。誰かがテントの外を歩く音が聞こえ、深夜になると、どこからか低くうめくような声が響いてきたのだ。

恐怖に駆られた私たちは、夜が明けると同時にキャンプを切り上げ、急いで帰路についた。しかし、それで終わりではなかった。自宅に戻った夜、私はふと自分の部屋の窓から外を見た。そこには、森で見つけた日記に描かれていた"影"のようなものが、じっと私を見つめているのが見えた。

それ以来、夜になるとどこからか奇妙な囁き声が聞こえるようになった。私はあの森で見つけた日記をどうするべきか悩んでいるが、捨てることも、燃やすこともできないでいる。なぜなら、あの日記にはまだ読んでいないページがあるからだ。そして、そのページには私の名前が書かれていると感じてならないからだ。

シェアする!

1人が怖い!と言っています

コメント