その日、空はどこまでも黒かった。太陽が昇るはずの時間になっても、光が差し込むことはなかった。雲ではない。雨の気配もない。ただ、空全体が異様な闇に覆われていた。
都市の騒音も次第に消え、世界はまるで息を潜めたかのように静まり返っていた。テレビやインターネットは繋がらず、スマートフォンの画面には「接続なし」の表示が点滅するばかり。何か大きな異変が起こっている。それは誰もが感じていた。
主人公の悠也(ゆうや)は、朝起きた瞬間からその異様な静けさに不安を覚えていた。家族を呼び起こそうとしたが、誰も応答しない。部屋を覗くと、母親はベッドに横たわったまま、微動だにしなかった。何度声をかけても反応がなく、体に触れると冷たくなっていた。
パニックに駆られ、外に出た悠也はさらなる恐怖を目の当たりにする。通りには人の姿がほとんどない。残された車が無秩序に止まり、エンジン音も聞こえない。唯一生きている人々は、ただ震えるように立ち尽くしていた。
街中を歩いていると、同じ学校の同級生である美咲(みさき)の姿を見つけた。彼女は悠也を見つけるなり駆け寄ってきた。
「悠也! あなたも生きてるのね! これ、一体何が起きているの?」
美咲の目は涙で潤んでいた。彼女も家族が突然動かなくなったと話し、何が起こったのか全く分からないと怯えていた。
二人は互いに寄り添いながら情報を集めるために街を歩いた。しかし、人々はすべて同じ状況だった。動かなくなった家族、突然の闇、停止した都市機能。電気はまだ使えるが、ネットもテレビもすべて無音の闇に閉ざされている。
そんな中、一人の男が二人に近づいてきた。彼は古びた外套を纏い、顔は痩せ細り、まるでこの世界の終焉を象徴するかのような風貌だった。
「これは選別だ……」男は低い声で呟いた。「生き残った我々は、何かを選ばなければならない。世界を壊すか、再生させるか……だが、その代償は……」
男の話によると、この闇は人類が積み上げてきた罪の結果であり、神の怒りがもたらした試練だという。しかし、選ばれた少数の人々には、新たな世界を築くための「選択」が与えられる。だがその選択をするたびに、何か大切なものを失うらしい。
「選択をしなければ?」と悠也が問うと、男は薄く笑った。「この闇の中で、ただ死を待つだけだ」
悠也と美咲は恐怖と混乱の中、どちらを選ぶべきか分からずにいた。しかし、時間が経つごとに街の崩壊は進み、生き残った人々の中にも奇妙な変化が現れ始めた。目が赤く光り、動きが鈍くなり、やがて言葉を失う。そして最後には、影のような塊となって消えていく。
「悠也……私たち、どうすればいいの?」美咲は泣き崩れた。
その時、悠也の手元に一冊の古びた本が現れた。そこには、「選択の儀式」の方法が記されていた。本はまるで誰かが意図的に送り込んだように感じられた。悠也は本を開き、そこに書かれた指示を読み上げた。
悠也と美咲は最後の選択を迫られる。世界を再生させるためには、片方が自らの記憶を捧げ、もう片方が命を捧げる必要があると本には書かれていた。
- 悠也が記憶を捧げ、美咲が命を捧げる。結果、悠也は新しい世界で一人ぼっちとなり、すべてを忘れたまま生きることになる。
- 美咲が記憶を捧げ、悠也が命を捧げる。美咲は新しい世界で何も知らないまま、ただ一人で生き続ける。
どの結末を迎えるかは、物語を読むあなたの想像に委ねられる。